History of Primary City

人類が最も繁栄していた時代、どこかの国で。
世界はインターネットで一つにつながり、ほぼすべての物がコンピューターによって管理されていた。
実際にはめったにないことだが、例えばどこかの幼稚園児が地球の裏側にいる過激な原理主義グループのリーダーとチャットで話すことも出来たし、天才的なクラッカーだったらその気になれば北国の独裁者が冷蔵庫に医者に止められているはずの糖分たっぷりな甘いデザートをどれだけストックしているかを知ること出来る、そんな風に世界はできていた。
世界は人間であふれ、文明はすっかり成熟しきっていた。
少なくとも20年前までは。
人類がいつもどおり世界のどこかで大国が黙認する民族紛争についてのニュースに眉をひそめながら高カロリーなジャンクフードをほおばったり、生活保護を受けられない、今日の食事にも困るような哀れな老人の記事を読みながら大豆でできたヘルシーなハンバーグで食事をしている頃それは起こった。
11年周期で活発化する太陽風が地球を直撃したのだ。
その時太陽風が放ったいつもより強力な電磁波は、普段地球自身の磁場に守られていた多くの電子機器にダメージを与えた。
宇宙空間を漂っていて強力な放射線によって被爆した不運な宇宙飛行士でもない限りは、直接生命に被害を受ける者はいなかったが、それでも生命を医療機器に頼らざるを得ない人々は文字通り命綱を切られたし、冷蔵庫のストックは管理不能となったし、幼稚園児と原理主義グループのリーダーがチャットはおろか電話で話すことすら不可能となった。
文明社会は大きなダメージを被り、インターネットは第二のバベルとなった。一つになった世界は再び分断されたのだ。
それはここPrimary Islandでも同様だった。
当時Primary Islandは巨大なエネルギー会社イジモインダストリーのグシャニウム資源採掘プラントの関連施設だった。
施設がご多分にもれず壊滅的なダメージを受け放棄された後、多くの人々が集団でどこかへ去って行き、そして二度と戻ってこなかった。
残された人々はそこで生活をはじめ、時々どこからともなくやってくる外からの流入者が定住し、島は20年余りの歳月をかけて一つの混沌としたの街のようになった。
何もないが全てがある街、金がなくても暮らせるが金さえあればすべてが買える街、不自由なために自由な街。
いつしかそこはPrimaryCityと呼ばれるようになった。

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